時刻

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オペレーティングシステムでは、時間(時計)は4つのパーツで決まっています: 時刻値・時刻系・標準時間帯・夏時間 (Daylight Saving Time, DST)。この記事ではこれらが何なのか、そしてどうやって読み込み・設定するのか説明します。ネットワークを使って正確なシステム時刻を維持する方法は Network Time Protocol を見て下さい。

ハードウェアクロックとシステムクロック

コンピューターは2つの時計を持っていることを考慮しなくてはなりません: "ハードウェアクロック" と "システム(ソフトウェア)クロック" です。

ハードウェアクロック (又の名をリアルタイムクロック (Real Time Clock, RTC) もしくは CMOS クロック) は次の値を保存しています: 年・月・日・時・分・秒。時刻系 (localtime か UTC) や夏時間が使われているかどうかの情報を保存することはできません。

システムクロック (又の名をソフトウェアクロック) は次の情報を記録しています: 時刻、タイムゾーン、そして DST が適用されるかどうか。Linux カーネルは1970年1月1日の午前0時からの秒数でシステムクロックをはじき出します。システムクロックの初期値は /etc/adjtime を使ってハードウェアクロックから算定されます。起動が完了した後は、システムクロックはハードウェアクロックとは独立して動作します。Linux カーネルはタイマー割り込みを数えることによりシステムクロックを記録します。

時刻を表示する

現在のシステム時刻を確認するには (UTC と地方時どちらも表示されます):

$ timedatectl status

root で同じコマンドを実行すればハードウェアクロックの時間も表示します。

時刻を設定する

直接システムクロックを設定するには:

# timedatectl set-time "yyyy-MM-dd hh:mm:ss"

例:

# timedatectl set-time "2014-05-26 11:13:54"

2014年5月26日、11時13分54秒に設定されます。

RTC

ほとんどのオペレーティングシステムは:

  • 起動時にハードウェアクロックからシステムクロックを設定します
  • NTP デーモンを使ってシステムクロックの時間を正確に保ちます
  • シャットダウン時にシステムクロックからハードウェアクロックを設定します

時刻系

ノート: デフォルトでは systemd はハードウェアクロックに UTC を使用します。

2つの時刻系が存在します: 地方時 (localtime) と 協定世界時 (Coordinated Universal Time, UTC) です。地方時系は現在のタイムゾーンによって決まりますが、UTC は世界時であり、タイムゾーンの値は関係ありません。概念的には異なっていますが、UTC は GMT (グリニッジ標準時, Greenwich Mean Time) とも言われます。

ハードウェアクロック (CMOS クロック, BIOS で表示される時間) で使われる時刻系はオペレーティングシステムによって定義されます。デフォルトでは、Windows は localtime を使いますが、Mac OS は UTC を使っていて、UNIX ライクなオペレーティングシステムでは決まっていません。一般的に、UTC を使う OS は起動時に CMOS (ハードウェアクロック) の時間を UTC 時間 (GMT, Greenwich time) だと認識して、あなたのタイムゾーンによってその時間を調整してシステム時刻を設定します。

Linux を使う時はハードウェアクロックを UTC 時刻系に設定するのが有益です。Linux でハードウェアクロックを UTC で定義すれば夏時間が自動的に使われます。地方時系を使う場合、システム時刻は DST によって変わらなくなり他のオペレーティングシステムが DST の切り替えを引き受けることになります (そして NTP エージェントは動作しません)。

ハードウェアクロックの時刻系の設定はコマンドラインから可能です。Arch Linux をインストールした時にあなたがどちらを設定したのか確認するには:

$ timedatectl status | grep local

ハードウェアクロックは timedatectl コマンドで尋ねたり設定できます。ハードウェアクロックの時刻系を localtime に変更するには次を実行してください:

# timedatectl set-local-rtc true

逆に時刻系を UTC に設定するには次を実行してください:

# timedatectl set-local-rtc false

ハードウェアクロック (RTC) を localtime に設定すると、夏時間の扱いで問題が生じるので注意してください。コンピュータの電源が切られている時に夏時間が変わると、次の起動時に時計がおかしくなります (詳しくは ここ を見て下さい)。最近のカーネルでは起動時にシステム時刻を直接 RTC からセットしますが、その際カーネルは RTC を UTC としてみなします。RTC が localtime だった場合、起動時に毎回システム時刻は間違って設定され、その後修正されることになります。これは予期せぬバグを引き起こす温床になりかねません (時計の針が戻るのは良いことばかりではないのです)。

上のコマンドで /etc/adjtime が自動的に設定されます; 他の設定は必要ありません。

カーネルの起動中、RTC ドライバーがロードされた時点で、ハードウェアクロックからシステムクロックを設定することができます。設定するかどうかはハードウェアプラットフォーム、カーネルのバージョン・ビルドオプション次第です。設定される場合、ブートシーケンスで既に、ハードウェアクロックは UTC と認識され /sys/class/rtc/rtcN/hctosys (N=0,1,2,..) の値は 1 に設定されます。その後、/etc/adjtime の値を使って、再度 systemd によってハードウェアクロックからシステムクロックが設定されます。そのため、ハードウェアクロックで localtime を使っているとブートシーケンス中に予期しない動作が発生するかもしれません。例えば、システム時刻が後戻りするなど。従ってこの設定は良いアイデアとは言えません。

ノート: timedatectl を使うには dbus が有効になっている必要があります。そのため、(インストール中など) chroot 下でこのコマンドが使えないかもしれません。そのような場合には、hwclock コマンドを使って下さい。

Windows で UTC を使う

RTC を localtime に設定する理由に Windows とのデュアルブートをするためということがあります (Windows は localtime を使っています)。しかしながら、Windows では簡単なレジストリのフィックスを使って RTC で UTC を使っていても対応できるようにすることができます。従って、Linux に localtime を使わせるよりも Windows に UTC を使わせるようにすることが推奨されます。Windows に UTC を使わせる場合、Windows のインターネット時刻機能をオフにするようにしてください。オフにすると Windows はハードウェアクロックにメスを入れなくなるので、代わりに NTP デーモンを使って RTC を同期させる必要があります。

regedit を使って、レジストリに十六進数で 1DWORD 値を追加してください:

HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\TimeZoneInformation\RealTimeIsUniversal

もしくは、以下の内容で *.reg ファイルを (デスクトップに) 作成しそれをダブルクリックしてレジストリにインポートしてください:

Windows Registry Editor Version 5.00

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\TimeZoneInformation]
     "RealTimeIsUniversal"=dword:00000001

Windows XP と Windows Vista SP1 は時刻系を UTC に設定することをサポートしており同じ方法で設定できます。しかし、サスペンド・ハイバネーション状態から復帰すると時計が localtime に戻ってしまうというバグが存在します。これらのオペレーティングシステムでは、localtime を使うことを推奨します。

DST が変わったことで Windows が時計を更新すると行ってきた場合は、それに従って下さい。Windows は時計を UTC のままにしておき、表示する時間だけ修正します。

値を設定した後にハードウェアクロックとシステムクロックの時刻を更新する必要があるかもしれません。

時計がずれる問題が発生している場合、tzdata を再インストールしてタイムゾーンをもう一度設定してみてください。

# pacman -S tzdata
# timedatectl set-timezone America/Los_Angeles

Windows の時刻同期を 無効化 してください - そうしないとハードウェアクロックが破壊されます。

タイムゾーン

現在のゾーンを確認するには:

$ timedatectl status

利用可能なゾーンを一覧するには:

$ timedatectl list-timezones

タイムゾーンを変更するには:

# timedatectl set-timezone <Zone>/<SubZone>

例:

# timedatectl set-timezone Asia/Tokyo

このコマンドによって /usr/share/zoneinfo/ 下の zoneinfo ファイルを指し示したシンボリックリンク /etc/localtime が作られます。リンクを手動で作成する場合、archlinux(7) で指摘されているように、ハードリンクではなくシンボリックリンクを使うことに注意してください。

詳細は man 1 timedatectl, man 5 localtime, man 7 archlinux を見て下さい。

ノート: systemd 以前の設定ファイル /etc/timezone がシステムにまだ存在している場合、もう使われていないので削除しても問題ありません。

クロックスキュー

全ての時計は本当の時間 (一番正確なのは国際原子時) とは違う値を示しています、どの時計も完全ではありません。クォーツを使っている電子時計は(不完全な)時間を刻んでいますが、規則的なズレを生じさせています。この本質的な'ズレ'は'クロックスキュー'や'クロックドリフト'として知られています。

ハードウェアクロックが hwclock で設定された時、新しいドリフト値(一日に何秒ズレるか)が算定されます。このドリフト値は新しく設定された値と以前に設定されていたハードウェアクロックの値の差から計算され、以前のドリフト値とハードウェアクロックが最後に設定された時間を考慮しています。新しいドリフト値と時計が設定された時刻は /etc/adjtime ファイルに書き込まれ以前の値を上書きします。これにより hwclock --adjust を実行することでハードウェアクロックのずれを調整できるようになっています。また、hwclock デーモンが有効になっている場合シャットダウン時にも実行されます (よって systemd を使っているシステムでは実行されません)。

ノート: 以前に設定した時から24時間以内に再度 hwlock が設定された場合、hwclock は経過時間が短すぎて正確にドリフトを計算できないとしてドリフトは再計算されません。

ハードウェアクロックが時間の消失と取得を何度も繰り返している場合、不正なドリフトが保存されている可能性があります (ただし hwclock デーモンが実行中の場合に限ります)。これはハードウェアクロックの時間を間違って設定したり時刻系を Windows や Mac OS と合わせていないときに起こります。/etc/adjtime を削除してドリフト値を削除してから、正しいハードウェアとシステムクロックの時間を設定して、時刻系が直ったか確認してください。

ノート: systemd を使っていながら /etc/adjtime に保存されているドリフト値を使いたい (つまり NTP を使えない・使いたくない) 場合、定期的に hwclock --adjust を実行するか、それを代わりにする cron ジョブを作って下さい。

ソフトウェアクロックはかなり正確ですが、他の時計と同じく完全に正しいわけではありませんし同じようにズレが起こります。稀に、カーネルが割り込みを飛ばしたときにシステム時刻が正確さを失うことがあります。ソフトウェアクロックの正確性を改善するツールが複数存在します:

  • NTP は Network Time Protocol を使って GNU/Linux システムのソフトウェアクロックをインターネットの時刻サーバーと同期させることができます。NTP は割り込みの周期や1秒辺りのティックの数を調整してシステムクロックのずれを減らすことも可能です。NTP の実行中は11分ごとにハードウェアクロックの再同期も行われます。
  • adjtimexAUR (AUR から利用できます) は割り込み頻度などカーネルの時間変数を調整してシステムクロックのクロックドリフトを改善するのに役立ちます。

トラブルシューティング

時計が示している値が UTC でも localtime でもない

さまざまな理由が考えられます。例えば、ハードウェアクロックが localtime で動いているのに、timedatectl が UTC に設定されていると、タイムゾーンのオフセットが UTC に二重に適用されることで、localtime でも UTC でもない間違った値になってしまいます。

時計を正しい時刻に直して、ハードウェアクロックに正しい UTC を書き込むには、以下の手順に従って下さい:

  • NTP を設定してください (サービスとして有効にする必要はありません)。
  • タイムゾーンを適切に設定してください。
  • ntpd -qg を実行して手動で時計をネットワークと同期してください、ローカル UTC とネットワーク UTC の時差は無視します。
  • hwclock --systohc を実行して現在のソフトウェア UTC 時刻をハードウェアクロックに書き込んで下さい。

Tips and tricks

fake-hwclock

alarm-fake-hwclock は RTC をバックアップするバッテリーが搭載されていないシステム用のスクリプトで、シャットダウン時に現在時刻を保存して、起動時に保存した時刻を復元する systemd サービスが付属しています。これによって時刻が飛んでしまうエラーを防ぐことができます。

fake-hwclock-gitAURインストールして fake-hwclock.service起動・有効化してください。

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