Secure Shell

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Secure Shell (SSH) は暗号技術を利用して、安全にリモートコンピュータと通信するためのネットワークプロトコルです。暗号によってデータの機密性と完全性が保証されます。SSH は公開鍵暗号を使ってリモートコンピュータを認証し、リモートコンピュータは必要に応じてユーザーを認証します。

基本的に SSH はリモートマシンにログインしてコマンドを実行するために使われますが、トンネリングや TCP ポートや X11 接続の任意のフォワーディングをサポートしており、SFTP や SCP プロトコルを使うことでファイル転送をすることも可能です。

デフォルトでは、SSH サーバーは標準の TCP 22番ポートを使います。通常は SSH クライアントプロトコルを使って sshd デーモンの接続を確立してリモート接続を承認します。macOS, GNU/Linux, Solaris, OpenVMS など近代的なオペレーティングシステムのほとんどでサーバーとクライアントの両方が備わってします。複雑なもの・完全なものまで様々なレベルのバージョンがプロプライエタリ・フリーウェア・オープンソースを問わずに存在します。

目次

OpenSSH

OpenSSH (OpenBSD Secure Shell) は ssh プロトコルを使ってコンピューターネットワークを介して暗号化通信セッションを提供するコンピュータープログラムのセットです。SSH Communications Security によるプロプライエタリの Secure Shell ソフトウェアスイートに代わるオープンのプログラムとして作成されました。OpenSSH は Theo de Raadt に率いられている OpenBSD プロジェクトの一環として開発されています。

同じような名前の OpenSSL と OpenSSH が混同されることがときどきありますが、プロジェクトの目的・開発チームは異なります。

OpenSSH のインストール

公式リポジトリから opensshインストールしてください。

SSH の設定

クライアント

SSH クライアントの設定ファイルは /etc/ssh/ssh_config もしくは ~/.ssh/config です。

Protocol 2 を明示的に設定する必要はありません。デフォルトの設定ファイルではコメントアウトされています。つまり明示的に有効にされない限り Protocol 1 は使われません。 (ソース: http://www.openssh.org/txt/release-5.4)

デーモン

SSH デーモンの設定ファイルは /etc/ssh/sshd_config です。

特定のユーザーにだけアクセスを許可するには次の行を追加してください:

AllowUsers    user1 user2

特定のグループにだけアクセスを許可するには:

AllowGroups   group1 group2

SSH による root ログインを無効にするには、PermitRootLogin 行を次のように変更してください:

PermitRootLogin no
ノート: バージョン 7.0p1 からは PermitRootLogin prohibit-password がデフォルトになっています。man sshd_config を参照。

ウェルカムメッセージを追加するには /etc/issue ファイルを編集して Banner 行を次のように変更してください:

Banner /etc/issue

ホスト鍵は sshd の systemd サービスによって自動的に生成されます。sshd に特定の鍵を使用させたい場合、手動で設定します:

HostKey /etc/ssh/ssh_host_rsa_key

サーバーに WAN からアクセスできる場合、デフォルトのポートである 22 から別のランダムなポートに変更することが推奨されています:

Port 39901
ノート: OpenSSH では設定ファイルに Port x 行を複数記述することで複数のポートを使うことができます。

パスワードによるログインを使わないようにすればセキュリティは大幅に向上します。詳しくは SSH 鍵#パスワードログインの無効化 を見て下さい。

sshd デーモンの管理

次のコマンドで sshd デーモンを起動することができます:

# systemctl start sshd.service

次のコマンドで sshd デーモンを起動時に有効にすることができます:

# systemctl enable sshd.service

詳しくは systemd#ユニットを使う を見て下さい。

警告: Systemd は非同期にプロセスを実行します。SSH デーモンを特定の IP アドレス ListenAddress 192.168.1.100 に結びつけている場合、デフォルトの sshd.service ユニットファイルはネットワークインターフェイスが有効にされることに依存していないため、ブート中にロードが失敗する可能性があります。IP アドレスをバインドする時は、カスタムした sshd.service ユニットファイルに After=network.target を追加してください。systemd#ユニットファイルの編集 を参照。

また SSH デーモンソケットを有効にすることで初めて接続があったときにデーモンが起動するようにすることもできます:

# systemctl start sshd.socket
# systemctl enable sshd.socket

デフォルトの22番以外のポートを使う場合、ユニットファイルを編集する必要があります:

# systemctl edit sshd.socket
[Socket]
ListenStream=
ListenStream=12345
警告: sshd.socket を使用すると ListenAddress の設定が打ち消されて、どのアドレスからでも接続できるようになってしまいます。ListenAddress の設定を適用するには、ListenStream でポートと IP を指定する必要があります (例: ListenStream=192.168.1.100:22)。また、[Socket] の下に FreeBind=true を追加するようにしてください。そうしないと IP アドレスの設定が ListenAddress の設定と同じように無効になってしまいます: ネットワークが立ち上がっていない場合にソケットの起動が失敗します。
ヒント: ソケットアクティベーションを使う場合、sshd.socket でもデーモンの標準の sshd.service でもログの接続試行を監視することはできません。ただし # journalctl /usr/bin/sshd を実行することで監視できます。

サーバーに接続する

サーバーに接続するには、次を実行してください:

$ ssh -p port port user@server-address

SSH の保護

管理業務のために SSH によるリモートログインを許可することは良いことですが、サーバーのセキュリティに脅威を及ぼすことにもなりえます。総当り攻撃の標的になりやすいので、SSH のアクセスは制限して、第三者がサーバーにアクセスできないようにする必要があります。

  • わかりにくいアカウント名やパスワードを使う
  • 信頼できる国からの SSH 接続だけを許可する
  • fail2bansshguard をつかってブルートフォース攻撃を監視し、総当りを起こっている IP を閉め出す

ブルートフォースアタックからの保護

ブルートフォースは単純な攻撃方法です: ランダムなユーザー名とパスワードの組み合わせをとにかく沢山作ってウェブページや SSH などのサーバーログインプロンプトにログインを絶えず試行します。ブルートフォース攻撃からは fail2bansshguard などの自動スクリプトを使うことで攻撃者をブロックすることで身を守ることができます。Uncomplicated Firewall#ufw によるレート制限も参照。

もしくは、公開鍵認証を使うことでブルートフォース攻撃を出来なくすることもできます。sshd_config に次の設定を追加:

PasswordAuthentication no
ChallengeResponseAuthentication no

上の設定を適用する前に、SSH アクセスが必要な全てのアカウントで authorized_keys ファイルに公開鍵認証の設定をするようにしてください。詳しくは SSH 鍵#リモートサーバーに公開鍵をコピー を参照。

2段階認証

SSH 鍵のペアによる認証を使用していてパスワードによろうログインを無効化している場合に、2段階認証を使いたいときは Google AuthenticatorSSH 鍵#2段階認証と公開鍵 を見て下さい。

root ログインを制限する

一般的に、SSH で無制限に root ログインを許可することは推奨されません。セキュリティの向上のために、SSH での root ログインを制限する方法は2つ存在します。

root ログインを拒否する

Sudo を使うことで、root アカウントの認証を行うことなく、必要に応じて root 権限を選択的に付与することができます。このため SSH による root ログインを拒否して、攻撃者にパスワードに加えて (root でない) ユーザー名も推測させる必要を生じさせることで、ブルートフォース攻撃を困難にすることが可能です。

/etc/ssh/sshd_config の "Authentication" セクションを編集することで SSH からの root ログインを拒否するように設定できます。#PermitRootLogin prohibit-passwordno に変更して行をアンコメントしてください:

/etc/ssh/sshd_config
PermitRootLogin no
...

そして、SSH デーモンを再起動してください。

これで、SSH を使って root でログインすることはできなくなります。ただし、通常ユーザーでログインしてから susudo を使ってシステム管理を行うことは依然として可能です。

root ログインを限定する

自動的な作業の中にも、リモートによるフルシステムバックアップなど、root 権限を必要とするものがあります。セキュアな方法で root を許可したい場合、SSH による root ログインを無効化する代わりに、特定のコマンドだけ root ログインを許可することができます。~root/.ssh/authorized_keys を編集して、以下のように特定のキーの前にコマンドを記述します:

command="/usr/lib/rsync/rrsync -ro /" ssh-rsa …

上記の設定で、特定の鍵を使ってログインした場合はクォートで囲ったコマンドを実行できるようになります。

ログイン時に root ユーザーの名前を出すことで攻撃する対象が増えてしまうことに対しては sshd_config に以下を追加することで埋め合わせができます:

PermitRootLogin forced-commands-only

上記の設定は root が SSH で実行できるコマンドを制限するだけでなく、パスワードの使用も無効化して、root アカウントでは強制的に公開鍵認証を使うようになります。

root で使えるコマンドは制限しないで公開鍵認証の強制だけをするという手もあり、それでもブルートフォース攻撃はほぼ不可能です。その場合、以下を設定:

PermitRootLogin without-password

他の SSH クライアントとサーバー

OpenSSH の他にも、多数の SSH クライアントサーバーが存在します。

Dropbear

Dropbear は SSH-2 クライアント・サーバーです。dropbear公式リポジトリから利用可能です。

コマンドラインの ssh クライアントは dbclient という名前が付けられています。

Mosh

Mosh の ウェブサイト より:

ローミングが可能で、断続的な接続もサポートしているリモート端末アプリケーションです。ユーザーのキーストロークのローカルエコーと行編集を提供します。Mosh は SSH の代替です。SSH よりも強固でレスポンスが早く、特に Wi-Fi や携帯端末からの接続、長距離通信など通信速度が遅い場合に役に立ちます。

公式リポジトリから moshインストールするか AUR にある最新版 mosh-gitAUR を使って下さい。

Mosh にはドキュメントに記載されていないコマンドラインオプション --predict=experimental が存在し、よりアグレッシブにローカルのキーストロークのエコーを生成します。キーボード入力が遅延なく確認できるのに興味があるのであればこの prediction モードを使ってみて下さい。

Tips and tricks

暗号化 SOCKS トンネル

暗号化トンネルは信頼ができない様々なワイヤレス接続を使用するノートパソコンなどで非常に有用です。必要なのは SSH サーバーが安全な場所 (家や仕事場など) で動作していることだけです。DynDNS などのダイナミック DNS サービスを利用すれば IP アドレスを覚える必要もありません。

手順 1: 接続の開始

以下のコマンドを実行することで接続を開始できます:

$ ssh -TND 4711 user@host

user はユーザー名に host は SSH サーバーが動作しているホストに置き換えてください。パスワードを入力すると接続が行われます。N フラグはインタラクティブプロンプトを無効化し、D フラグは listen するローカルポートを指定します (ポート番号は何でもかまいません)。T フラグは疑似 tty アロケーションを無効化します。

verbose (-v) フラグを追加することで、接続が成功していることを出力から確認することができます。

手順 2: ブラウザ (やその他のプログラム) の設定

新しく作成した socks トンネルを使用するようにウェブブラウザ (や他のプログラム) を設定しないと上記の作業は無意味です。最新バージョンの SSH は SOCKS4 と SOCKS5 に対応しているため、どちらかを使うことができます。

  • Firefox の場合: 編集 → 設定 → 詳細 → ネットワーク → 接続 → 接続設定:
ラジオボタンの手動でプロキシを設定するにチェックを入れて、SOCKS ホストテキストフィールドに localhost と、次のテキストフィールドにポート番号を入力してください (上の例では 4711)。

Firefox はデフォルトでは DNS リクエストの作成に socks トンネルを使用しません。以下の手順で設定することでプライバシーを守ることができます:

  1. Firefox のロケーションバーに about:config と入力。
  2. network.proxy.socks_remote_dns を検索。
  3. 値を true に設定。
  4. ブラウザを再起動。
  • Chromium の場合: 環境変数やコマンドラインオプションで SOCKS の設定ができます。以下の関数を .bashrc に追加することを推奨します:
function secure_chromium {
    port=4711
    export SOCKS_SERVER=localhost:$port
    export SOCKS_VERSION=5
    chromium &
    exit
}

もしくは:

function secure_chromium {
    port=4711
    chromium --proxy-server="socks://localhost:$port" &
    exit
}

ターミナルから以下のように実行してください:

$ secure_chromium

X11 フォワーディング

X11 フォワーディングはリモートシステムで X11 プログラムを動作させて、グラフィカルインターフェイスをローカルのクライアントマシンで表示させるメカニズムです。X11 フォワーディングではリモートホストに X11 システムを完全にインストールさせる必要はなく、xauth をインストールするだけで十分です。xauth は、、X11 セッションの認証を行うために必要なサーバーとクライアントによって使用される Xauthority の設定を管理するユーティリティです (ソース)。

警告: X11 フォワーディングにはセキュリティ的に重要な問題があります。ssh, sshd_config, ssh_config のマニュアルページの該当するセクションを読んで最低限の知識をつけてください。こちらの記事 も参照。

セットアップ

リモート側:

  • 公式リポジトリから xorg-xauthxorg-xhostインストール
  • /etc/ssh/sshd_config 内:
    • AllowTcpForwardingX11UseLocalhost オプションを yes に設定し、X11DisplayOffset10 に設定 (何も変更を加えてなければこの値がデフォルトになっています、man sshd_config を参照)
    • X11Forwardingyes に設定
  • sshd デーモン再起動
  • リモートシステムでも X サーバーを動作させる必要があります。

クライアント側では、接続するたびにコマンドラインで -X スイッチを指定して ForwardX11 オプションを有効にするか、openSSH クライアントの設定ファイルForwardX11yes に設定してください。

ヒント: GUI の描画がおかしい場合やエラーが表示されるときは ForwardX11Trusted オプションを有効にできます (コマンドラインでは -Y スイッチ)。X11 フォワーディングが X11 SECURITY 拡張 の制御から外れるようになります。使用するときはセクション冒頭の警告を読んでください。

使用方法

通常通りリモートマシンにログインします、クライアント側の設定ファイルで ForwardX11 を有効にしていない場合は -X スイッチを指定します:

$ ssh -X user@host

グラフィカルなアプリケーションを実行しようとするとエラーが表示される場合、代わりに ForwardX11Trusted を試してみて下さい:

$ ssh -Y user@host

リモートサーバーで X プログラムが起動できるようになったら、出力がローカルセッションに転送されます:

$ xclock

"Cannot open display" エラーが表示される場合、root 以外のユーザーで以下のコマンドを実行してみてください:

$ xhost +

上記のコマンドは全てのユーザーに X11 アプリケーションの転送を許可します。特定のホストだけに転送を制限するには:

$ xhost +hostname

hostname は転送先のホストの名前に置き換えてください。詳しくは man xhost を参照。

特定のアプリケーションではローカルマシンでインスタンスが動作しているかチェックが実行されます。例えば Firefox は以下の起動パラメータを使用してローカルマシンでリモートインスタンスを起動する必要があります:

$ firefox --no-remote

接続時に "X11 forwarding request failed on channel 0" と表示される場合 (サーバーの /var/log/errors.log に "Failed to allocate internet-domain X11 display socket" と出力される場合)、xorg-xauth パッケージがインストールされていることを確認してください。上手く機能しない場合、以下の設定を試してみてください:

  • サーバーの sshd_configAddressFamily any オプションを有効にする。
  • サーバーの sshd_configAddressFamily オプションを inet に設定する。

IPv4 で Ubuntu クライアントを使っている場合は inet に設定することで問題が解決します。

SSH サーバーの他のユーザーで X アプリケーションを実行するには SSH でログインしているユーザーの xauth list の認証行を xauth add する必要があります。

他のポートのフォワーディング

SSH は X11 をサポートしているだけでなく、TCP 接続のセキュアなトンネル化に使用することもできます。ローカルフォワーディングとリモートフォワーディングの両方が使えます。

ローカルフォワーディングはローカルマシンのポートを開いて、リモートホストに接続が転送されます。転送先をリモートホストと同じにすることで、同一マシンでセキュアな VNC 接続などができます。ローカルフォワーディングは -L スイッチで利用することができ <tunnel port>:<destination address>:<destination port> という形式で転送先を指定します:

$ ssh -L 1000:mail.google.com:25 192.168.0.100

上記のコマンドは SSH で 192.168.0.100 にログインしてシェルを開きます。そしてローカルマシンの TCP ポート 1000 から mail.google.com のポート 25 にトンネルが作成されます。接続が確立すると localhost:1000 への通信は Gmail の SMTP ポートに接続されます。Google から見ると、192.168.0.100 から接続が来ているように見えます (必ずしも接続と一緒にデータが運ばれるとは限りません)。データはローカルマシンと 192.168.0.100 の間は安全に運ばれます。

同じように以下のコマンドは localhost:2000 に接続することができ、リモートホストのポート 6001 に透過的に送信されます:

$ ssh -L 2000:192.168.0.100:6001 192.168.0.100

前者の例はセキュリティ上問題がある (tightvncAUR パッケージに含まれている) vncserver ユーティリティによる VNC 接続などで有用です。

リモートフォワーディングは SSH トンネルとローカルマシンを通してリモートホストから任意のホストに接続できるようにします。ローカルフォワーディングとは逆の機能であり、ファイアウォールによってリモートホストの接続が限られている場合などに有用です。リモートフォワーディングは -R スイッチで使うことができ <tunnel port>:<destination address>:<destination port> という形式で転送先を指定します:

$ ssh -R 3000:irc.freenode.net:6667 192.168.0.200

上記のコマンドは 192.168.0.200 にシェルを立ち上げて、192.168.0.200 からローカルホストの3000番ポートへの接続をトンネルを通して送信し、それから irc.freenode.net のポート 6667 に転送します。ポート 6667 がブロックされている場合でもリモートホストから IRC プログラムを利用することができるようになります。

ローカルフォワーディングとリモートフォワーディングはどちらもセキュアなゲートウェイとして使用することができます。<tunnel address>:<tunnel port>:<destination address>:<destination port> のようにバインドアドレスをつかうことで、SSH や SSH デーモンを動かしていなくても他のコンピュータが SSH トンネルを利用することが可能です。<tunnel address> はトンネルの入り口となるマシンのアドレスです: localhost, * (あるいは空)。特定のアドレス経由の接続、ループバックインターフェイス経由の接続、全てのインターフェイス経由の接続を許可します。デフォルトでは、フォワーディングはトンネルの入り口のマシンからの接続だけに制限されており <tunnel address>localhost に設定されています。ローカルフォワーディングは特に設定が必要ありませんが、リモートフォワーディングはリモートサーバーの SSH デーモンの設定によって制限を受けます。詳しくは sshd_config(5)GatewayPorts オプションを見てください。

踏み台ホスト

場合によっては、接続先の SSH デーモンに直接接続できず、踏み台サーバー (ジャンプサーバー) を使わざるを得ないことがあります。ふたつ以上の SSH トンネルを接続して、それぞれのサーバーに対してローカルの鍵で認証します。SSH エージェントの転送 (-A) と疑似端末の割当 (-t) を使って以下のようにローカルの鍵を転送します:

$ ssh -A -t -l user1 bastion1 \
  ssh -A -t -l user2 intermediate2 \
  ssh -A -t -l user3 target

以下のように -J フラグを使用することもできます:

$ ssh -J user1@bastion1,user2@intermediate2 user3@target

-J ディレクティブで指定するホストはカンマで区切り、指定された順番で接続されます。user...@ の部分は必須ではありません。-J で指定したホストは ssh の設定ファイルを使うため、必要であればホスト毎にオプションを設定することが可能です。

マルチプレクス

SSH デーモンは通常はポート 22 番をリッスンします。しかし、公共のインターネット・ホットスポットでは HTTP/HTTPS のポート(80 と 443)以外のトラフィックをブロックしていることが一般的です。そのため SSH 接続がブロックされてしまいます。すぐできる解決策として、許可されているポートで sshd を起動するという方法があります:

/etc/ssh/sshd_config
Port 22
Port 443

しかしポート 443 番は HTTPS を提供する Web サーバにすでに使われていることが多いです。その場合は sslh のようなマルチプレクサを使います。これは指定ポートをリッスンし、そこに来るパケットを複数のサービスに賢く振り分けることができます。

SSH の高速化

ヒント: SSH を SFTP や SCP で使用する場合、openssh-hpn-gitAUR をインストールすることで転送速度を劇的に上げることができます [1]

同一のホストのセッションは全て単一の接続を使うようにすることで、後のログインを劇的に高速化することができます。/etc/ssh/ssh_config$HOME/.ssh/config の適当なホストの下に以下の行を追加してください:

ControlMaster auto
ControlPersist yes
ControlPath ~/.ssh/sockets/socket-%r@%h:%p

~/.ssh/sockets は他のユーザーが書き込めないディレクトリなら何でもかまいません。

ControlPersist はクライアントとの接続を閉じるまでにどれくらい待機するか指定します。yes で永遠に待ち続け、no で接続を即座に終了します。秒数で指定することもできます。

警告: ControlPersistyes に設定すると接続が自動的に終了しなくなるので注意してください。

速度を向上させる別のオプションとして圧縮を有効化する -C フラグがあります。/etc/ssh/ssh_config の適切なホストの下に次の行を追加することで永続的に設定することができます:

Compression yes
警告: ssh(1) には「モデム接続など接続速度が遅い場合は圧縮の効果がありますが、高速なネットワークではむしろ通信が遅くなります」と書かれています。ネットワーク環境によっては圧縮は逆効果です。

ログイン時刻は AddressFamily inet オプションや -4 フラグを使って IPv6 ルックアップを迂回することで短くできます。

SSHFS でリモートファイルシステムをマウントする

sshfs を使って (SSH でアクセスした) リモートのファイルシステムをローカルフォルダにマウントする方法は Sshfs の記事を参照してください。マウントしたファイルは様々なツールであらゆる操作することができます (コピー、名前の変更、vim で編集など)。基本的に shfs よりも sshfs を使用することを推奨します。sshfs は shfs の新しいバージョンであり、元の shfs は2004年から更新されていません。

ヒント: ログイン時に自動的に autosshfs を実行する autosshfs-gitAUR パッケージも存在します。

Keep alive

一定時間操作がないと ssh セッションは自動的にログアウトします。接続を維持するには以下をクライアントの ~/.ssh/config/etc/ssh/ssh_config に追加してください:

ServerAliveInterval 120

これで120秒ごとに "keep alive" シグナルがサーバーに送信されます。ServerAliveCountMaxTCPKeepAlive オプションも参照してください。

反対に、外部からの接続を維持するには、次をサーバーの /etc/ssh/sshd_config に設定します (数字は0より大きく):

ClientAliveInterval 120

systemd で SSH トンネルを自動的に再起動

systemd を使ってブート時/ログイン時に SSH 接続を自動的に開始して、接続が失敗した時に再起動させることができます。SSH トンネルの管理に役立つツールとなります。

以下のサービスでは、ssh の設定に保存された接続設定を使って、ログイン時に SSH トンネルを開始します。接続が何らかの理由で閉じられた場合、10秒待機してから再起動します:

~/.config/systemd/user/tunnel.service
[Unit]
Description=SSH tunnel to myserver

[Service]
Type=simple
Restart=always
RestartSec=10
ExecStart=/usr/bin/ssh -F %h/.ssh/config -N myserver

上記のユーザーサービスを有効化して起動してください。トンネルがタイムアウトするのを防ぐ方法は #Keep alive を見て下さい。起動時にトンネルを開始したい場合、ユニットをシステムサービスとして書きなおして下さい。

Autossh - SSH セッションとトンネルの自動再起動

ネットワークの状態が悪かったりしてクライアントが切断してしまい、セッションやトンネルの接続を維持できない場合、autossh を使って自動的にセッションとトンネルを再起動できます。

使用例:

$ autossh -M 0 -o "ServerAliveInterval 45" -o "ServerAliveCountMax 2" username@example.com

sshfs を組み合わせる:

$ sshfs -o reconnect,compression=yes,transform_symlinks,ServerAliveInterval=45,ServerAliveCountMax=2,ssh_command='autossh -M 0' username@example.com: /mnt/example 

プロキシ設定で設定した SOCKS プロクシを使って接続:

$ autossh -M 0 -o "ServerAliveInterval 45" -o "ServerAliveCountMax 2" -NCD 8080 username@example.com 

-f オプションで autossh をバックグラウンドプロセスとして実行することができます。ただし対話式でパスフレーズを入力することができなくなります。

セッション中に exit と入力したり autossh プロセスに SIGTERM, SIGINT, SIGKILL 信号が送られるとセッションは終了します。

systemd を使ってブート時に自動的に autossh を起動する

autossh を自動的に起動したい場合、以下の systemd ユニットファイルを作成します:

/etc/systemd/system/autossh.service
[Unit]
Description=AutoSSH service for port 2222
After=network.target

[Service]
Environment="AUTOSSH_GATETIME=0"
ExecStart=/usr/bin/autossh -M 0 -NL 2222:localhost:2222 -o TCPKeepAlive=yes foo@bar.com

[Install]
WantedBy=multi-user.target

AUTOSSH_GATETIME=0 は接続が成功して ssh が立ち上がったと autossh が認識する秒数です。0に設定すると autossh は ssh の最初の起動失敗を無視します。起動時に autossh を実行する場合は設定するべきです。他の環境変数は man ページを見てください。必要であればもっと複雑に設定することもできますが、AUTOSSH_GATETIME=0 を含む -f は systemd では機能しません。

設定後はサービスを起動有効化してください。

以下のように ControlMaster を無効化する必要もあるかもしれません:

ExecStart=/usr/bin/autossh -M 0 -o ControlMaster=no -NL 2222:localhost:2222 -o TCPKeepAlive=yes foo@bar.com
ヒント: It is also easy to maintain several autossh processes, to keep several tunnels alive. Just create multiple service files with different names.

ソケットアクティベーションで SSH ポート番号を変更する (sshd.socket)

次の内容で /etc/systemd/system/sshd.socket.d/port.conf ファイルを作成:

[Socket]
# Disable default port
ListenStream=
# Set new port
ListenStream=12345

リロードすれば systemd は自動的に新しいポートを開きます:

systemctl daemon-reload

トラブルシューティング

チェックリスト

以下は最初に行うべきトラブルシューティングのチェックリストです。何かする前に以下の問題をチェックすることを推奨します。

  1. 設定ディレクトリ ~/.ssh の中身がユーザーからアクセスできることを確認する (クライアントとサーバーの両方で確認してください):
    $ chmod 700 ~/.ssh
    $ chmod 600 ~/.ssh/*
    $ chown -R $USER ~/.ssh
    
  2. クライアントの公開鍵 (例: id_rsa.pub) がサーバーの ~/.ssh/authorized_keys に存在することを確認する。
  3. サーバーの設定AllowUsersAllowGroups によって SSH によるアクセスが制限されていることを確認する。
  4. ユーザーにパスワードが設定されていることを確認する。新しいユーザーにはパスワードが設定されていない可能性があります。
  5. sshd を再起動してクライアントとサーバーの両方で一度ログアウトをしてみる。

電源オフ/再起動した後も SSH 接続が残ってしまう

systemd が sshd の前に network を停止してしまうと電源を切った後も SSH 接続が繋がったままになります。この問題を修正するには、After ステートメントを修正してください:

# systemctl edit systemd-user-sessions.service
[Unit]
After=network.target

接続が拒否されるまたはタイムアウトする

ルーターがポートフォワーディングをしていないか?

NAT モードやルーターを使っている場合、ルーターが ssh 接続を転送していないか確認してください。サーバーの内部 IP アドレスは $ ip addr で確認することができるので、SSH ポートの TCP をその IP に転送するようにルーターを設定してください。portforward.com も役に立ちます。

SSH が動作しているか?

$ ss -tnlp

上記のコマンドで SSH ポートが開いていると表示されない場合、SSH は動作していません。/var/log/messages にエラーがないか確認してください。

接続をブロックするようなファイアウォールのルールが存在しないか?

iptables によってポート 22 の接続がブロックされている可能性があります。次のコマンドで確認してください:

# iptables -nvL

INPUT チェインのパケットを拒否するようなルールがないか見て下さい。そして、必要であれば、次のようなコマンドでポートのブロックを解除します:

# iptables -I INPUT 1 -p tcp --dport 22 -j ACCEPT

ファイアウォールの設定に関する詳細はファイアウォールを見て下さい。

トラフィックがコンピュータにまで到達しているか?

以下のように問題のコンピュータのトラフィックを収集してみてください:

# tcpdump -lnn -i any port ssh and tcp-syn

上記は基本的な情報を表示します。トラフィックが表示されるまで待ってください。その後、接続を試行してみてください。何も出力がされない場合、コンピュータの外側にある何かがトラフィックを妨害しています (例: ハードウェアファイアウォールや NAT ルーターなど)。

ISP またはサードパーティによってデフォルトのポートがブロックされてないか?

ノート: このステップは次のことを確認した後で実行してください。ファイアーウォールを何も起動していないこと。DMZ へのルーターを正しく設定している、またはコンピュータへポートを転送していること。それでもまだ動かない場合、ここで診断のステップと解決法が見つかるでしょう。

ときどき ISP (インターネット・サービス・プロバイダ) が SSH のデフォルトポート (22番) をブロックしている場合があります。この場合はあなたが何をしても (ポートを開ける、スタックを強化する、フラッドアタックを防御する、など) 無意味になります。ブロックされているかどうか確認するために、全てのインターフェイス (0.0.0.0) をリッスンする sshd を立ち上げ、リモートから接続してみます。

このようなエラーメッセージが出る場合:

ssh: connect to host www.inet.hr port 22: Connection refused

これはそのポートが ISP にブロックされていないが、そのポートでサーバーの SSH が起動していないことを意味します (security through obscurity を参照)。

しかし、次のようなエラーメッセージが出る場合:

ssh: connect to host 111.222.333.444 port 22: Operation timed out 

これは何かがポート 22 での TCP トラフィックを拒否 (reject) していることを意味します。そのポートはあなたのサーバー上のファイアーウォールか第三者 (ISP など) のどちらかによってステルスされています。自分のサーバーでファイアーウォールが起動していないことが確かなら、また、ルーターやスイッチの中でグレムリンが育っていないことが確かなら、ISP がトラフィックをブロックしています。

ダブルチェックのために、サーバ上で Wireshark を起動してポート 22 でのトラフィックをリッスンしてみましょう。Wireshark はレイヤ 2 のパケット・スニファリング・ユーティリティであり、TCP/UDP はレイヤ 3 以上なので (IP ネットワークスタックを参照)、もしリモートから接続するときに何も受け取っていなければ、十中八九、第三者がブロックしています。

問題診断

tcpdump または wireshark-cli パッケージの Wireshark をインストールしてください。

tcpdump の場合:

# tcpdump -ni interface "port 22"

Wireshark の場合:

$ tshark -f "tcp port 22" -i interface

interface は WAN 接続に使っているネットワークインターフェイスに置き換えてください (確認したいときは ip a を実行)。リモートで接続を試行してもパケットが全く受け取れない場合、ISP によってポート 22 のトラフィックがブロックされている可能性があります。

解決方法

解決方法は、単に ISP がブロックしていない他のポートを使うことです。/etc/ssh/sshd_config を編集して他のポートを使うようにしましょう。例えば次を追加します:

Port 22
Port 1234

そしてこのファイル中の他の Port 設定をコメントアウトします。「Port 22」をコメントにして「Port 1234」を追加するだけでは、sshd がポート 1234 しかリッスンしなくなるので、この問題は解決しません。この 2 行どちらも使用し、sshd が両方のポートをリッスンするようにします。

あとは systemctl restart sshd.service で sshd を起動するだけです。そして ssh クライアントでも同じポートに変更します。

Read from socket failed: connection reset by peer

最近の openssh のバージョンでは、楕円曲線暗号関連のバグのせいで、上記のエラーメッセージで接続が失敗することがあります。その場合 ~/.ssh/config に次の行を追加してください:

HostKeyAlgorithms ssh-rsa-cert-v01@openssh.com,ssh-dss-cert-v01@openssh.com,ssh-rsa-cert-v00@openssh.com,ssh-dss-cert-v00@openssh.com,ecdsa-sha2-nistp256,ecdsa-sha2-nistp384,ecdsa-sha2-nistp521,ssh-rsa,ssh-dss

openssh 5.9 では、上記の修正方法は働きません。代わりに、~/.ssh/config に以下の行を記述してください:

Ciphers aes128-ctr,aes192-ctr,aes256-ctr,aes128-cbc,3des-cbc 
MACs hmac-md5,hmac-sha1,hmac-ripemd160

openssh バグフォーラムの 議論 も参照。

"[your shell]: No such file or directory" / ssh_exchange_identification 問題

シェルのバイナリに $PATH が通っている場合でも、特定の SSH クライアントは $SHELL に絶対パスを設定する必要があります (パスは whereis -b [your shell] で確認できます)。

"Terminal unknown" や "Error opening terminal" エラーメッセージ

ssh でログイン時に "Terminal unknown" のようなエラーが表示されることがあります。これはサーバーがターミナルを認識できていないことを意味します。また、nano などの ncurses アプリケーションを実行すると "Error opening terminal" というメッセージが表示されます。

クライアントで使用しているターミナルの terminfo ファイルをサーバーにインストールするのが正しい解決方法です。これによってサーバーのコンソールプログラムがターミナルを正しく扱えるようになります。infocmp を実行してからパッケージを確認することで terminfo に関する情報を取得できます。

通常の方法でファイルをインストールできない場合、サーバーのホームディレクトリに terminfo をコピーしてください:

$ ssh myserver mkdir -p  ~/.terminfo/${TERM:0:1}
$ scp /usr/share/terminfo/${TERM:0:1}/$TERM myserver:~/.terminfo/${TERM:0:1}/

サーバーから一度ログアウトしてからログインしなおすと問題が解決しているはずです。

$TERM 変数を設定する解決策

警告: この方法はあくまで次善策であり、たまにしか接続しない ssh サーバーで使うようにしてください。

.bash_profile などで TERM=xterm と設定することでもエラーが表示されなくなり、ncurses アプリケーションが動作するようになります。ただし副作用があり、ターミナルの制御シーケンスが xterm と異なっている場合グラフィックがおかしくなります。

Connection closed by x.x.x.x [preauth]

sshd のログでこのエラーが確認できる場合、HostKey が正しく設定されているか確認してください:

HostKey /etc/ssh/ssh_host_rsa_key

OpenSSH 7.0 によって id_dsa が拒否される

OpenSSH 7.0 ではセキュリティ上の理由から ssh-dss が無効になっています。どうしても有効にする必要がある場合、クライアントの設定オプションを使用してください ([2] には書かれていない方法です):

PubkeyAcceptedKeyTypes +ssh-dss

OpenSSH 7.0 で No matching key exchange method found

OpenSSH 7.0 では Logjam 攻撃からの(理論上の)脆弱性を理由に diffie-hellman-group1-sha1 鍵アルゴリズムが無効になっています (http://www.openssh.com/legacy.html を参照)。特定のホストで鍵アルゴリズムが必要な場合、ssh は以下のようなエラーメッセージを吐きます:

Unable to negotiate with 127.0.0.1: no matching key exchange method found.
Their offer: diffie-hellman-group1-sha1

古いアルゴリズムを使用しないようにサーバーをアップグレード・設定することで上記のエラーは解決します。サーバー側の設定を変更できない場合、クライアント設定で KexAlgorithms +diffie-hellman-group1-sha1 オプションを使うことでアルゴリズムを有効化できます。

SSH から切断したときに tmux/screen セッションが終了する

セッションの最後にプロセスが終了する場合、ソケットアクティベーションを使っているために SSH セッションプロセスが終了したときに systemd によって終了されている可能性があります。ssh.socket の代わりに ssh.service を使用してソケットアクティベーションを使わないことで解決できます。もしくは ssh@.service の Service セクションで KillMode=process を設定してください。

KillMode=process は古典的な ssh.service でも役に立つことがあります。サーバーが停止したり再起動したときに SSH セッションプロセスや screentmux のプロセスが終了されることを防ぐことができます。

参照